尾澤木彫美術館

 ■収蔵作家 尾澤千春 尾澤敏春

 故山本鼎画伯が渡仏の帰途ソ連の木彫品を見て生活に溶け込んだ美術品に心を打たれ、帰国後気候風土の共通している信州の農村に農民美術と称し、大正8年ここ神川(現上田市)に提唱し誕生しました。当時農村は不況下で対策の一助に副業となす木彫品作りが始まりで農村の風俗をモチーフにした小さな木片人形(こっぱ人形)が主流で作られたのです。次第に時の流れは実用的多様性が好まれ今日に及んでおります。

 その道を継承し80余年様々な作品を制作し生業となす傍ら蓄積してきました作品と、諸外国研修を含めて巡って収集した木彫品等を平成元年『木彫美術館』を建設し陳列を整えました。

 主な展示品は装飾品では、飾額、衝立、飾鉢外、実用品では大小箱類、盆類各種、菓子器、ブックエンド、マガジンラック、木彫人形類多種、総点数約1500余点を陳列してあります。

 木彫人形コレクション

世界各国、ヨーロッパ諸国、ソ連、アフリカ、東南アジア、外各国を巡り、収集した手作りの木彫人形が1200点余り展示してあります。各国の風俗や衣裳その他が、それぞれ特色を表現しており、比較して見て頂くと面白いかと思われます。叉、技法や用材、着色等にも異りがありますが、木彫人形を作る気持ちはどこの民族も共通した理念のあることが感じられます。

 古民家移築

この建物は新潟の山間豪雪地帯にあった家で昭和12年に建てられた寄せ棟中門造りと呼ばれる茅葺屋根の古い民家を移築し、改装しながら洋風な面を取り入れ「和風と洋風の調和」をテーマにして建築されました。建物の内部はケヤキ、ブナなどの木組で作られ、長さ9間の中びきなど太い木組には積雪地民家の面影がしのばれます。次第に消えつつある木造建築の素晴らしさを見て頂きたいと思います。